Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
これ、おばあちゃんが今入院してる病院だ。
この前行ったばかりだから、覚えてる。
この先に、あのVIPルームが――と思うより早く、映像はそのホテルライクなどっしりとした扉を映し出した。
撮影者の影が、ドアへ黒々と映る。
心臓が、凄まじいスピードで打ち始めるのがわかった。
影は次第に大きくなる。
ドアに近づいてるんだ。
口の中はカラカラ。
悲鳴を上げたいのに、声が出てこなかった。
画面に動きがあった。
撮影者のものだろう。黒革の手袋をつけた手が伸び、ドアを開けた――映像はそこで途切れた。
「はぁっはぁっ……」
ソファにスマホを放り出して、肩で荒く呼吸する。
何なの、何なの一体これはっ……
誰がこんな悪戯……
口の中でつぶやきながら額に吹き出した冷や汗をぬぐっていると、視界の隅に放り出したスマホの画面が映った。何だろう、さっきまではなかった白い文字が浮かんでいる……?
【今夜9時、祖母の家にて待つ。必ず一人で来ること。誰かに話したりすれば、祖母の命はない】