Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~



「クロードさんっ!!」


凄まじい安堵と歓喜が、爆発したようにドッと全身に溢れた。


信じられない。
本物? 本物だよね?

じゃああの黒スーツの男は、彼がのしちゃったってこと?

どうしてここがわかったの?
スマホは置いてきた。位置情報アプリが入っていたとしても、追跡できるはずがないのに!

大混乱のまま彼を凝視し、言葉もなく立ち尽くしていると。
そんな私を認めたその眼差しをふと緩めて、美しい人が微笑む。

「安心しろ茉莉花、佐久間さんは無事だから」

決して大きいわけではないのに、その低音は耳に心地よく届き、心に染みた。

勝手なことして、悪いのは私なのに。
責められても仕方ないのに。

どうしてそんなに優しいの?

あぁやっぱりすごいや。この人には適わない。

私がうっとり見つめていると、クロードさんは一転冷酷ともいえるほど表情を厳しくして、香坂へと視線を移した。

「お前の仲間は、すべて片づけた。残っているのはお前一人だ、香坂――いや、王明。もう終わりだ。拳銃を下ろせ」

す、すべて?
全然音も聞こえなかったし、そんな気配もありませんでしたけど!?

クロードさんて、そんなに強かったの!?
全然呼吸も乱してないところが怖すぎる……。

愕然とする私の視界の端に、くつくつと肩を揺らす香坂が映った。
がっかりもしておらず、むしろ楽しそう……?

「終わり? 始まり、の間違いだろう? おめでたいなァ。僕らの仲間がたったそれっぽちだと思ってるのかい? そもそもどうして僕が、こんな場所に彼女を呼び出したと思うんだ? お前が追ってくる可能性を、考えなかったとでも?」

「……何だと?」

眉をひそめるクロードさんを見下ろし、香坂は自慢げに両手を広げた。

「この町内のどこかの納屋に、爆弾を仕掛けた」

< 325 / 402 >

この作品をシェア

pagetop