Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「……なんだって?」
冷ややかな視線に射抜かれて、香坂が鼻白む。
「今まで少しも疑問に思わなかったのか? なぜお前の母親は、すんなり離婚に同意したのか。母方の祖父母や親族が、なぜお前の後継者としての権利を主張しなかったのか」
「……は?」
予想外の展開だったんだろう。
混乱したように瞬き、ぽかんとクロードさんを見つめてる。
私も似たようなもので、ただ彼の力強い声音に耳を傾けるしかなかった。
「総帥は、兄・李宇航から直接理由を聞いていたそうだ。離婚にあたり、お前の母親と取引をしたのだと」
「と、取引?」
「今後一切リーズグループに関わらないこと。無一文で放り出されて後ろ指さされるより、金をもらって口を噤み名誉を守ることを選んだわけだな」
香坂の顔に、焦りと怒り、混乱が交錯した。
「ど、どういうことだ、何を言ってる。さっぱり意味がわからない」
「お前の母親は、ちゃんと自分でわかってたんだ。自分が、妻として許されない罪を犯したってな」
「つ、罪? お母様が……一体……」
「DNA鑑定を、したことはあるか?」