Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
富田の死で、俺はSDの仕事に忙殺されることになった。
Xはすでに、何者かが富田に接触し日本へ帰国させたことを知っている。
富田から自分の情報が流出したと、当然考えているだろう。
プラゼットという裏組織のこと、自分がその幹部であること、
その組織がリーズグループを標的として動いていること……
Xは、自分が追い詰められつつあると理解している。
だから、危険を冒してでも新宿のど真ん中で富田を殺した。
なんとしても、早くXを特定しなくては。
さもなくば、次は茉莉花が危ないかもしれない。
焦る俺はろくに家にも帰らず、各国に散るSDメンバーと連絡を取り合い、今後の作戦について話し合いを重ねた。
そんな折、シェルリーズホテルでグループ企業の懇親会が開かれた。
Xはリーズグループに恨みを持っている。
となると、関係者である可能性が高い、というのが我々が出した結論だ。
そこでその日も、俺は別室に入って会場をモニター監視していた。
総帥を直接狙う、とは考えにくいが、その危険性も捨てきれなかったからだ。
しかし突然、俺はギョッと目を瞠る――モニターの一つに茉莉花が映ったのだ。
しかも、あの恰好はスタッフ用のもの。
まさか働いてるのか!? バイトはしないと約束したのに!
信じられない思いで部屋を飛び出し、探して探して、さらに愕然とした。
彼女は藤堂と一緒にいた。