Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
その後俺は自分のせいで先生が狙われたのだと打ち明け、茉莉花に距離を置こうと提案した。
顔も見たくないと嫌悪される前に、彼女の元から去りたかったからだ。
――そう、ですね。ちょっと、1人になりたいかも。
彼女も反対しなかった。
やはり、父親の死の原因を作った俺とは、もう一緒にいたくないんだろう。
初恋の王子様だって待ってるしな。
――え、こんな時間から出ていくんですか? 別に明日でも……。
――いや、決心が鈍るといけないだろ。
自分の気持ちが揺らいでしまう前にマンションを出られたことは、不幸中の幸いだったと思う。
そうしてシェルリーズホテルに居を移した俺は、彼女のことを無理やり意識の外へ置き、事件解決のラストスパートへ集中する。
2週間後。
世界各地に散らばったプラゼットの拠点は、SDの情報提供をもとに現地警察の手によって次々制圧され、一定の成果を上げていた。
状況は悪くない。
なのに、気持ちは全く晴れなかった。
今頃茉莉花は藤堂と上手く行ってるんだろうか、そう考えるだけで胸の奥が焦げるようだった。
――浮かない顔ね。原因は、奥様との別居?
ユキにも気づかれてしまい、さらに気が滅入る。
自分がこれほど恋愛感情に揺さぶられる脆い人間だったとは。
遠くから見守っていたあの頃が懐かしい。
なまじ彼女の優しさに触れ、その笑顔を独占する幸福を味わってしまったから、これほど苦しむんだろうな。
こんなことなら……
――結婚したのは間違いだった。俺たちは、出会うべきじゃなかったんだ。