Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
『立ち会わせていただいて、本当にありがとうございました』
『んじゃーあとは2人でよろしくやれよ。うひひひ、ご馳走様』
「こらっ柊馬!」
ブツッと一方的に切られてしまった通信に呆れつつ視線を上げると、クロードさんはどこか思いつめたような眼差しを、太陽が傾き始めた海へ向けていた。
「クロード、さん? ……もしかして、母に申し訳ないとか、考えてます?」
プロポーズの後で、聞かせてくれたんだよね。
お母さんはその昔、お父さんが死んだのはクロードさんのせいだ、茉莉花に近づかないでくれって言ったらしい。
だから彼は、私の幸せを奪った自分が傍にいる資格はない、って、離婚前提での結婚を決めたそう。
お母さんも辛かったんだよね。
誰かのせいにせずにはいられないほど。
でもクロードさんと一緒にいることが、私の幸せだから……きっとお母さんも、わかってくれるはず。
寄り添う私を、眦を緩めた彼が見下ろした。
「いや、それはもう考えてない。ご両親が文句言えないくらい、君を幸せにすると決めたからな」
あぁよかった、と私も微笑み返して、「じゃあ、何を考えてたんですか?」と尋ねる。
なんだかちょっと辛そうな、切なげな視線だったから、気になったのだ。
こちらの気持ちが伝わったのか、彼は安心させるように私を腕の中へ包み込んでくれてから、口を開いた。
「先生と初めて会った時のことを、思い出していたんだ」
「初めて、会った時?」
「しつこく付きまとって、キズナに誘ってきて。余計なお節介はやめてくれって言ったら、『お節介上等。世界はお節介でできてるんだ』って言われて」
「…………すみません、父がまた、寒いダジャレを……」
小さくなって私が謝ると、くすくす軽やかな笑い声が降ってくる。