Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
――本物の夫婦って意味、わかってるだろうな? 俺の愛は相当重いからな。覚悟しておけよ?
退院してからも、同じベッドで休むことはあっても、彼は手を出してこなかった。
ケガが治りきるまでは無理させちゃいけない、って、私も遠慮してたし。
けど、最近は少しずつ愛情を感じるスキンシップも増えてきたし、さすがに新婚旅行も兼ねたクルーズだし、今夜こそは……うぁあああああっっどうしよう……っ!!
「……茉莉花、ほんとに大丈夫か? 顔が赤いぞ? 酔っぱらった?」
テーブルの下でジタバタしていた足をピタッと止めて、「いぃいいえっ!! 全っ然酔ってないです!」とにっこりする私。
酔っぱらって寝落ち、だけは絶対避ける! 今夜だけは、なんとしても!
「奥様、ワインをもう少しいかがですか?」
ボトルを手にスタッフが近づいてくるのが見えた時も、決意は揺らがない。
「いえ、私はもう――」断るために笑顔を持ち上げた、ら。
「と、トミーっ!?」
ギョッと固まっちゃった。
高級感漂うボーイの制服に身を包んだ長身の男性が、香ちゃんの想い人だったから!
「お久しぶりです、茉莉花様」
口元だけを引き上げ、嫣然と微笑む彼には、私が知ってる朴訥とした青年の面影はない。
えぇえええ? なんか、髪も伸ばして明るい色に染めちゃって。
キャラ変わってない!?
「どどどどうしてここにっ!? え、帰国したって……」