Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「あぁ……きれいだ」
ベッドに乗り上げ、美術品でも鑑賞するように私の全身へその眼差しを彷徨わせる。
熱い視線に晒されて体温は急上昇。
恥ずかしすぎて横を向けば、すかさず顎を掴まれ、視線を捕らえられた。
「まさか、まだ俺のものになる覚悟ができてない、とか言わないだろう?」
獣のようにギラギラした眼差しからは、絶対に逃がさない、って言わんばかりの圧を感じる。
いつものクールな彼とは別人のような豹変ぶりに、ゾクリと身震いした。
「それは、言いません、けど。なんか、びっくり、してます。いきなり、だったから」
言いながらさりげなく両手でむき出しの胸を隠そうとするが、ニヤッと笑った彼に即効阻止された。
「言っただろう、我慢したって。この旅行までは、と堪えていたんだ。海の上に出てしまえば、君はもうどこにも逃げられない」
「に、逃げ出したくなるようなこと、するつもり、なんですか?」
ドキドキしながら上目遣いに聞けば、「さぁな?」とドヤ顔。
それから彼はベッド上へ膝立ちになって、自分のシャツをサッと脱いだ。
初めて目にする逞しい裸身――お風呂介助は、どうしてもやらせてもらえなかった――を、思わずガン見してしまう。
と、そこで目に入ったのは、その彫刻のように滑らかな肌を走る、醜い跡だった。
たまらず上半身を起こして手を伸ばし、そこへそっと触れた。
「私のせいで……こんな綺麗な肌なのに……っ」
ごめんなさい、と言いかける私の唇を、彼の指先がそっと押さえる。
「謝るな」
「でもっ」
「入院中俺はずっと、この傷を利用して、君を俺の傍に縛り付けることができないか、なんて考えていたんだから。そんなズルい男に、謝罪なんて必要ない」
「クロードさん……」
おかしいだろうか。
彼の束縛が、独占欲が、こんなにも嬉しいなんて。