Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
――茉莉ちゃん。
――君が笑ってくれたら、僕も嬉しいよ。
まるで学くんみたいな台詞。
あれは、クロードさんが学くんの口調を真似たものだったそうだ。
学くんが来た、っていうことにした方が、私が喜ぶと思ったみたい。
クロードさんに撫でられるたび、“お見舞いにきてくれた学くん”を思い出したのも当たり前だよね。
学くんのテノールと声が似ている、と感じたのは、クロードさんがその時まだ声変わり前だったから、らしい。
「私、潜在意識でクロードさんの手の感触を覚えてたんですね。学くんに触れられた時は、なんか違うってすぐわかって――」
「は? 学くんに、触れられた?」
一気に声を低くして睨んでくる彼、なんだか可愛い。
「クロードさん、顔が怖いですよ?」
くすくす笑う私の身体を拘束するように、強い力で抱き寄せられる。
「当たり前だっどうして藤堂が君に触れるんだ」
「ちょっと手が重なって、って、それはどうでもいいんですけど」
「どうでもよくない」
「もうっ話を聞いてくださいっ」
不満げな彼を振り返って、言葉を続ける。
「私は無意識に、あなたじゃなきゃダメだって感じてたんです。あなたがいないと、私はもう、笑うことすらできな――っ」
言葉ごと飲み込む勢いで唇がぴたりと塞がれて、隙間から舌がするりと差し込まれる。
「ンっ……」
昨夜の情事で散々覚え込まされたその味に、私の舌も歓喜して絡みつく。