月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 私はこういうときどうしたらいいかも知らない。



「なんてね、嘘泣きだよ」



 てへ、といたずらっ子の笑みをした天ちゃん。

 何だか今の、すごく友達っぽい。

 紅くんといると心がパタパタするけど、天ちゃんといるとぽわぽわする。

 これが好きな人と友達の違いなのかな。

 そんなふうにのんびり思った時だった。



「────胡蝶」

「えっ」



 グイッと後ろから腕を伸ばされ、首を抱かれた。

 この声と呼び方には覚えがあった。



「鈴木・・・真那・・・・・・。なんで」



 首を動かせなくて顔は見れないけど、間違えるわけがない。

 中学2年生から児童養護施設で共に過ごした男の子がここにいた。
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