月ノ蝶、赤縄を結ぶ
学校に行きたくないって思ったから?
そんなのみんな思ってるよ。
何で私が言っちゃダメなの?
いっつも私だけがダメなことばかり。
私だけが仲間外れで一緒に遊んじゃいけなくて、お母さんとの思い出話も何も無くて。
理不尽さに対する怒りよりも悲しさが勝り、それが涙になって零れ落ちた。
「紅くん・・・」
助けて。
お家に帰りたいよ。
紅くんのいるお家にいたい。
私の唯一の安全地帯に。
鼻を啜っていると、少し離れたところから布が擦れる音がした。
ここは意外と音が響くみたいだ。
「だれ?そこにだれかいるの?」
藁にもすがる思いで声を掛けた。
「あなたこそ誰?アイツらに捕まったの?」
「アイツらって・・・?」
返ってきたのは女の子の声だった。