籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
あまりにも近すぎる距離に、わたしはとっさに身を引く。


「な…なに?それに、“妬いちゃう”って?」

「だって美鳥サン、玲サンの話ばっかりするから」

「べつに、そんなことな――」

「ありますよ」


見開いた大きな目で、わたしの瞳を捉える裕一くん。

無表情で目も笑っていなくて……不気味でこわい。


「ちょっと…裕一くん、近いよ…!離れて――」

「いやです」


じりじりと距離を詰めてくる裕一くんから逃げるように、わたしは後ずさりをする。

ところが、わたしはいつの間にかソファの角に追い込まれてしまっていた。


「美鳥サンの世話役はボクですよ?ボクが一番美鳥サンの近くにいるっていうのに、ボクのことはなんとも思ってないんですか?」

「…なに言ってるの、裕一くん。たしかにあなたはわたしの世話役だけど、わたしはあなたに心を許したことは一度も――」
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