籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
裕一くんはニヤリと不気味に微笑みながら、わたしの唇に目を移す。


「や、やめて…。それに、こんなことが十座に知られたら…裕一くんがまずいんじゃないの!?」


わたしの顔にわずかな擦り傷ができただけでも憤慨して、副総長である玲を殴り飛ばした十座。

もし、世話役の裕一くんが妃候補のわたしに手を出したとなったら、きっと殴られるだけじゃ済まないはず。


わたしにとっては、それが唯一の盾であったけれど――。


「それなら大丈夫です。美鳥サンが黙ってくれれば、十座サンに知られることもありませんから」


開き直ったかのように、裕一くんがにんまりと笑う。


「…なっ」


わたしは思わず言葉を失った。


「それに、美鳥サンは十座サンのことをひどく嫌ってるみたいですけど、こういうときだけ十座サンにすがるつもりですか?…まったく、都合のいい女っすね」
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