籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
茉莉花さんが妃に選ばれるのが先か。

はたまた、新しい妃候補がきてNo.2の座を明け渡すのが先か。


どちらにしても、妃候補で居続けるには期限がある。

いつか、どこかのタイミングで、この生活から解放されるときがくるんだ。


わたしはそのことだけを希望に、今の自分の現状に耐えることにした。



* * *



じとじとした梅雨が明け、本格的な夏の訪れを感じ始める季節――。


「…暑い」


夜中、わたしは寝苦しさに目が覚めた。

夜風が気持ちよかったから窓を開けて寝たけれど、いつの間にか風は止み、室温が上がっていた。


エアコンのリモコンを手に取り、冷房のボタンを押す。

そして、再び眠りにつこうとしたちょうどそのとき、枕元にあったわたしのスマホの画面が光った。


さらに小刻みに震えているスマホは、着信の合図。
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