籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
だけど、曜日が決まっているわけでなく、こうしてその日に突然伝えにくる。


「わかった。今から用意する」


わたしは貴重品を手に取る。

すると、振り返ってすぐ目の前に裕一くんの顔が現れた。


「…な、なに?」


あまりにも急接近すぎて、思わず戸惑う。

裕一くんは、キョトンとした表情ではわたしの首元に目をやる。


「ボク、ずっと思ってたんすけど…。“これ”、外したほうがよくないっすか?」


そう言って、裕一くんはわたしの首にかかるシルバーのネックレスを手に取った。

わたしの首には、チョーカーがつけられるよりもずっと前から、小さな指輪に通した細いチェーンがつけられていた。


だから今は、チョーカーとネックレスが両方ついている。


「なんかバランス悪いなって、前から気になってたんです。チョーカーは外せないので、このネックレスなら外してもいいんじゃ――」
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