籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
「…触らないで!」


裕一くんがわたしの首の後ろに手をまわしてネックレスを外そうとするものだから、わたしは体をねじってそれを拒否した。


「これは大切なものなの…!!だから、このままにしておいて!」

「そうなんすか?だれかからのプレゼントとか?」

「それは――」


そう言われて言葉に詰まった。

なぜなら、だれからもらったのかがわからなかったから。


だれかにプレゼントされたのか。

はたまた自分で買ったのか。


それすらも思い出せない。


だけど、わたしの中では大切なものということだけはわかる。


「兄が…くれたものだから」


ぎこちなく答える。


でも、きっとそうだ。

覚えてはいないけど、小さいときにお兄ちゃんがわたしにくれたに違いない。


コンコンッ


そのとき、また部屋のドアがノックされた。
< 99 / 440 >

この作品をシェア

pagetop