クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「それって、…………ん?」


瞬間、窓の外に写る景色に釘付けになった。

だって目の前に広がる景色は――


「お、お城……⁉」


高い塀に囲まれていても、中にそびえたつ建物がハッキリ見える。それくらい建物が高く、大きい……。いったい何階あるの⁉


「これが時山家ですよ」

「や、やっぱり⁉ そうかなとは思ってました……。でも想像を絶するというか」


長い距離を車で走り、門前へ到着する。

何かのパレードが出てきそうなほど、ずらっと横に長い門。建物のスケールが桁違い。


「さすが、天下の時山家ですね……」

「凪緒様、堂々としてくださいね。あなたは響希様の婚約者なのですから。では、ご武運を」

「え⁉」


一緒に行ってくれないの⁉
さすがに一人じゃ心細すぎるよ、安井さん!

ドアを開けてくれた安井さんは、私の背中をポンと軽く叩く。


「私はただの秘書、中に入る資格はありません。それが出来るのは凪緒様だけです」

「そ、そんな……」
< 149 / 291 >

この作品をシェア

pagetop