クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
『まさか知らなかったの? 今あなたが荷物をまとめているのは、引っ越しするためよ。入居は明後日だったかしら?』
近くにいたお手伝いさんに「ねぇ?」とお母さんが聞くと、お手伝いさんは頷いた。
昔から知っているお手伝いさんで、トヨばあちゃん(略してトヨばあ)と呼ばれている。
『いつかは出て行かれると思っておりましたが、まさかこんなにお早くなんて、寂しゅうございます』
と言いながら、トヨばあは私の手に小さな箱を手渡す。
ん? なに、この可愛い箱。
『これは香水です。なんでも、男の人がメロメロになるというもので。夜にお使いくだされ』
『なんで夜限定⁉ 絶対に怪しいヤツじゃん! どこで買ったのよ、トヨばあ!』
するといやらしくニタリと笑ったトヨばあは「最近は〝ねっとそっぴんぐ〟が趣味でして」とシワの彫りを深くした。
お母さんからは派手な下着。
トヨばあからは怪しい香水。
本来なら家に置いておくべきなんだろうけど、初めて家を出る心細さもあり、その二つは、今――私のバッグに入っている。
近くにいたお手伝いさんに「ねぇ?」とお母さんが聞くと、お手伝いさんは頷いた。
昔から知っているお手伝いさんで、トヨばあちゃん(略してトヨばあ)と呼ばれている。
『いつかは出て行かれると思っておりましたが、まさかこんなにお早くなんて、寂しゅうございます』
と言いながら、トヨばあは私の手に小さな箱を手渡す。
ん? なに、この可愛い箱。
『これは香水です。なんでも、男の人がメロメロになるというもので。夜にお使いくだされ』
『なんで夜限定⁉ 絶対に怪しいヤツじゃん! どこで買ったのよ、トヨばあ!』
するといやらしくニタリと笑ったトヨばあは「最近は〝ねっとそっぴんぐ〟が趣味でして」とシワの彫りを深くした。
お母さんからは派手な下着。
トヨばあからは怪しい香水。
本来なら家に置いておくべきなんだろうけど、初めて家を出る心細さもあり、その二つは、今――私のバッグに入っている。