唇を隠して,それでも君に恋したい。

「僕も貰っていい?」

「ああ」



食洗係の人に悪いと思いながらも,カチャッと新しいスプーンを取り出し,差し出されたお皿にさっくりとさした。

スプーンを変えるほどの潔癖のくせに他人が口をつけた場所には平気でスプーンをいれるという少々歪な行動に,少しドキドキする。

さらにはその手をきゅっと包むように掴まれて,僕は思わずわっと声を上げた。

そっとスプーンを取られ,僕はしぶしぶ口を開ける。

敦は僕の口に僕がすくったカレーを含ませて,幸せそうに笑った。

もちろん,すぐにスプーンは取り返したけれど。

僕は照れ隠しのような不機嫌な顔で,もぐもぐとそれを咀嚼する。

どうしてか,一口しか食べていないそれは,僕のよりずっと美味しい気がした。


「じゃあ,順番に他も回るか」


そういって連れていかれた先は,最初に僕がノーと言った乗り物たち。

散々ジェットコースターに付き合ってもらった後だからとおとなしく空中ブランコのシートベルトを締める。

お姉さんの合図とゆかいなメロディーに合わせて,ふわりと足元が浮いた。


「う,わぁ?! 敦!」

「?」

「どうしよう,怖い!」

「は?」

「う……うわぁぁぁぁぁ」「「「「きゃぁぁあぁぁぁあ!!!!」


上下に揺れる。

ふわりふわり,うをぉんと揺れる。

ぎゅっとバーを握って,僕は悲鳴を上げながら瞳を閉じた。



「大丈夫か?」

「うん,なんとかね」

「ジェットコースターに比べればこんなのへでもないだろ」

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