唇を隠して,それでも君に恋したい。
「伊織くんは……中村 敦……中村君が好きでしょ?」
僕は迷った後,眉を下げて
「うん」
と答えた。
「遊びでもいいよ,ユリユリ。少しでいい。いくらでも協力するから」
ぎゅっと僕の首に巻き付いた小さな体の女の子は,とても柔らかくて儚かった。
震える彼女に気が付いて,唇を結んだ僕も応えるように抱きしめる。
ほぅと吐いた息は,まだ熱かった。
百合川さんの体がぴくりと跳ねる。
「移るよ」
小さく問う。
それでも百合川さんは,頷いた。
「……ふれるだけなら」
僕はためらって,ためらって。
諦めるように小さく百合川さんを抱きしめた。
どうしたらいいのかは,おせっかいな和寧にきいた。
「じゃあ,私からもいい?」
顔を上げた百合川さんに僕は
「……少しだけだよ」
小さく返して,くるりと彼女の背中を布団に倒した。
僕は純粋な君の好意すら利用するのに,そしてなし崩し的に触れてすらしまうのに。
その程度なら,と僕は了承する。
百合川さんの指先が,僕の喉元から胸元まで滑る。
互いに少しずつはだけて,僕は抱きしめるように百合川さんの首筋に唇を落とした。
そしてすぐに,ゆっくりと拭う。