唇を隠して,それでも君に恋したい。
「だがそれはそれだ。子供たちは僕が引き取る」
ぐすっと涙声が出ても,気にせず僕はスマホの向こうの人間へと告げた。
強情だとでも思ったのか,和寧が笑う。
『言ったろ。それは無理だって。それでも家族になりたいなら,家政夫にでもなって通ってよね』
その提案に,僕は息をのんだ。
少し考えた後に,こくりと頷く。
「じゃあ,僕の褒賞予定金と貯金の9割を君に譲渡するよ。別のチームで何か別の研究を続けながら,子供たちの事も育てる」
僕のあげられる全てを。
彼は僕の言葉を,仕方がなさそうな声で了承した。
お互いに沈黙が流れる。
彼は僕に幸せになれと言ったけど。
幸せになりたいのはお前の方じゃないか。
未だに愛してる人がいるくせに,僕にはそれをさせなかったくせに。
お前だけが
「和寧」
『ん?』
「ありがとう。それから,これからもよろしく」