唇を隠して,それでも君に恋したい。
僕には,少なくとも2000人の同種がどこかで息をしている。
だけどリューには,同種と言える人がいないんだ。
自分は変わった点など何も無いのに,ただ僕たちS·Pを受け入れて。
他人の分までたった1人で秘密を抱えるしかない。
リューの今までの人生を考えて,僕は絶句した。
「俺はお前のことが好きだ。この何の役にもたたない体質も,お前の役に立つなら嬉しい」
リューのそれは,もて余した体質への執着に等しい。
だけど,僕を見る欲情を孕んだ瞳は……その全てが偽りではないと表していた。
目は口ほどに物を言う。
僕のように口や本音を隠さないリュー。
開かれた瞳は,一途に僕だけを見つめていた。
もしかしたら,僕が出会うなかで……最初で最後になるかもしれない僕の理解者。
ドクンと,沸き上がる何かで胸が鳴る。
そうだ。
突然のことで忘れていたけれど。
リューは2度も,僕を好きだと言った。