唇を隠して,それでも君に恋したい。

ボクと,ソレイガイ。

『返事はいらない。まだ』



その言葉がぐるぐるぐるぐると留まって,全身を循環していく。

求められても,返せなかったけど。

いらないと言われても,戸惑ってしまう。

僕自身,どうしたいのか分からなかった。

だって,僕は知っている。

きっと,リューの気持ちにいつか応えられることを。

お互いだけが,お互いの求める隙間を埋めることが出来ることを。



「何ボーっとしてんだよ」



気もそぞろな僕に,三太がぽりぽりとブロッコリーを咀嚼しながら言った。

思わずえ? っと聞き返してしまう。



「俺たちもあんまり言わないでいるけど……最近多いだろ。1人で帰った日,何かあったのか」



三太に続くように,スズも言った。

三太はそこまで考えていたわけではないだろうけど,どうやら僕は,知らない間に気を使わせていたらしい。

敦までもがちらりと僕をみる。

その延長で,僕はリューと目を合わせてしまった。

つい,ふいと視線をはずす。

こんな風にしたいわけでも,して言いと思っているわけでも無かったけど。

反射的に逸らしてしまうのだからどうにもならない。

そわそわして,どこか気恥ずかしくて。



「何でもないよ。少し考え事をしていただけ」

「本当に? 何かあったら言えよ」



僕は顔を伏せて,前髪に触れた。

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