唇を隠して,それでも君に恋したい。


「どうしような」



スズが1番に僕に近寄ってくる。



「僕も皆んなか入れてくれん?」

「ああいや,そうじゃなくて」



目を丸くしたスズからはどこか,また聞いてなかったの? というニュアンスを含んでいるように見えた。

どうしような,という質問の理由がそこにあるのだろう。

けれど僕自身も話を聞いていなかったために,どこか気まずい思いを感じて目を伏せる。



「班編成,人数が決まってるんだよ。一グループ4人。リューに三太に伊織に和寧に敦に僕,これじゃあ6人になるから,どうしても最低二人は分かれなきゃいけない」



だから,どうしようかと,スズは僕に向けて言ったんだった。



「昼飯と夕飯は行けるだろうけど……流石にタクシーでの自由行動は全部は合わせらんないだろうな。運転手のスピードとか,全員の行きたい場所とかも違うだろうし」



班での行動は食事と最終日の自由行動になるのか,と僕は頷く。


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