唇を隠して,それでも君に恋したい。

「僕,伊織と一緒の班がいいな」



驚いて目を見開いた。

しかしスズは納得するようにすんなりと受け入れて頷く。



「まあ,そうだろうな。じゃああとはリューと敦だけど……あっちの女子と決まりそう,かな?」



僕はえっと後ろを振り返った。

珍しく全然来ないと思えば,リューと敦は2人して2人組の女子に囲まれている。

もし2人が頷けば,あれで4人……

僕の入る隙はきっと無いだろう。

しかも動けないでいるだけのように見えるリューは机に腰掛け,斜め上を向いて上の空。

誘われているのは敦の方。

もしかしたら,この間のラブレターの持ち主は案外近くにいて,あの子だったりするのかもしれない。

そわそわとしばらく待っていると,そちらを見ていた僕たちに気づいて苦笑しがちにやって来る。



「悪い,遅くなった。どうなってる?」

「俺と三太,和寧と伊織がおんなじになるって事だけ。ここ4人でもいいし,あとはリューと敦がどうしたいかで決まるかな。それより村瀬さん,いいの?」

「うん。別に。俺はどうせならお前たちといる方が楽しいから」



敦……っと,スズの肩が感動に震えているのが見えた。

正直,僕も別の意味で同じ気持ちだ。

今は他の女子より僕たちの方が優先順位が上。

当たり前と言われればそうなのかもしれないが,僕はその事実に安心せずにはいられなかった。

いい加減少し,性格が悪い気もする。

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