唇を隠して,それでも君に恋したい。
「伊織が……デレてる」
スズに信じられないものでもみるかのような目の声色で見られ,僕は和寧のネクタイを引っ張った。
「……俺も。リューと同じで」
「りょーかい。じゃあほら三太,行くよ」
「え。どこ」
「だから班員を集めに。3~4人じゃなきゃ駄目なんだから。聞いてなかったの? 俺たちで申し訳ないけど,行かないと」
そう言ってスズが三太を引っ張っていくのは,敦たちが断った女子二人のもと。
スズは僕たちと長い間話していたし,向こうの女子も敦を引き留めていたしでもうお互いしか残っていないようだった。
えっと……
これで,班員は決まったのだろうか。
リューと,敦と,僕と,和寧。
しんと理由もなく静まって,僕は気まずさに二の腕を擦った。