唇を隠して,それでも君に恋したい。
「舌も入れる?」
からかうように舌を出す和寧。
僕はその頬を掴んで,和寧に顔を近づけた。
マスクを下ろし,目を閉じる寸前,和寧の驚いた表情が見える。
してやったりと思いながら,僕も口を開けた。
血液検査と変わらない。
違和感も結果も,一瞬だ。
「……おり!」
ぴくりと二人して硬直する。
僕はそちらを向けず,和寧を引き寄せて強制的に壁ドンさせ,胸板に自分を押し付けた。
やばい。
その一言が何度も巡る。
明らかに,声の主は"その瞬間"を見ていた。
目撃されるには,あまりにも"エロい"……
相手を向く和寧の顔を想像するだけでも腹が立つ。
「まぁあれだな。なんつーか。一度あることは二度あるし,二度あることは三度あるっつー感じなんかな」
ひとつは体育館,ふたつめは今。
ならもうひとつは……?
いつの事を言ってるんだと思いながら,和寧の個人的なことかと行き着く。
そして今はそんなことを言っている場合ではないと。