唇を隠して,それでも君に恋したい。
「そろそろバス戻ろうかと思ってて。2人も戻ろう。三太が自販機で変なジュース買ったんだよ。ね,リュー」
ずんと立つリューを見ると,何本もペットボトルを抱えている。
思いがけない光景に,僕はふはっと笑った。
いつの間にか,肩に力が入っていたみたいだ。
「じゃあ早く戻ろうか」
「うん」
敦は珍しく,皆の後ろを僕と歩く。
和寧はちらりと僕を振り返ったけれど,それ以上何も言わなかった。
ざわざわとして,胸がつまる。
ふと,こつんと何かが僕の手の甲に当たった。
「~っ」
悩む。
でも僕はこうする他ないと思って。
敦の,人差し指だけを数秒握り返した。
だめだ。
僕は敦のこんな行動が,たまらなく嬉しい。