唇を隠して,それでも君に恋したい。
「はだめ」
両手でかたく拒否をして,僕ははっとした。
ツーっと背中を冷たい汗が流れていく。
和寧とは悪ふざけとは言え不必要に舌までいれようとしたのに,ここで敦を拒むのは……
「あ,あのこれには」
「いや,悪かった」
「あの」
「おやすみ,伊織」
どうしよう。
僕は敦を拒みたい訳じゃ……
傷付けたい訳じゃ,ないのに。
ーカサッ
え。
リュ……
「悪い。覗くつもりはなかった」
「い,いや僕こそ! あの……」
どうしよう,どうしようと。
どうにもならない頭で焦る。
恥ずかしさ,いたたまれなさ。
そして,おこがましくも……申し訳なさ。
「いい。分かってる。届いたんだろ……気持ちが」
「うん……僕は敦と付き合うことになった」
他人への初めての報告が,和寧を除いてリューだなんて。
リューは僕の目をそらさずに,じっとみつめて聞いた。