クズ男に囚われたら。
「……可愛い、七帆」
「うそ…っ、ばっか、ん…っ」
「ほんとだって」
瀬能の制服にしがみつきながらも、注がれる言葉に抵抗する。
何度も繰り返されるキスの中、朝はきちんと締めてあったネクタイが緩んでいることに気付いて呆れた。
ご丁寧にピアスまでちゃんと付けちゃって。
きっと瀬能は、わたしが昨日ここに来なかったから、あの手この手でわたしを翻弄しようとしたんだろう。
いつもの時間より遅く来たのだって、どうせその一環だ。
キスが終わった後で問い詰めたら、瀬能はクスクス笑っていた。
「翻弄じゃなくて、誘惑な」
「意味わかんない」
「俺の捉え方の問題」
「あ、そ」
これ以上真面目に聞くのもバカバカしく思えて無視したけど、それでも瀬能は悪戯が成功した子供のように楽しそうだった。


