Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「春香さん、もしかして《《知っている》》んですか?」

 真っ直ぐ目を見つめられ、ドキッとした。思わず耳たぶに触れてしまう。

「知ってるって……何のこと?」

 慌ててとぼけようとしたが、瑠維の表情を見ればお見通しなのがすぐにわかる。耳たぶに触れていた手を瑠維に掴まれ、そっと口付けをされた。

 春香は困ったように頭を掻きながら、大きなため息をついた。

「瑠維くんにはすぐに見破られちゃう」
「当たり前です。僕を誰だと思っているんですか。ずっと春香さんを見ていたんですから、それくらいはわかりますよ。春香さんの名前でいいところを、いきなり"初夏"の名前を出すなんて何かあると思うじゃないですか」
「そうだよね、ごめんなさい……」

 申し訳なさそうに俯いた春香を見て、瑠維はハッとして彼女の体を抱きしめた。

「違うんです! そうじゃなくて……もしあのことが春香さんに知られて、あなたに拒絶されたらどうしようという不安ばかりが募っていて……」
「……どうして私が拒絶するの?」

 春香がそう尋ねたが、返事は返って来なかった。

「やっぱり鮎川さんの言う通りだわ。瑠維くんは絶対に話そうとしないだろうって。だから教えてくれたの」
「鮎川さんですか……」
「でもね、鮎川さんは瑠維くんが私に心配をかけたくなくて言わないって言ってたけど、本当は違うってこと?」

 ようやく腰に回されていた手が緩み、春香は瑠維の顔を両手で挟んで自分の方に向かせた。すると目元を赤く染め、今にも泣きそうな瑠維がいた。

「そうですね……。たぶん……言わなかったと思います。話したら、全て話さなければいけなくなるーーそうしたらあなたの僕に対する印象が変わってしまうかもしれない……そんなことを想像するだけでも怖くて……」

 春香は瑠維の唇にそっとキスをした。

「私がそんなことくらいで嫌になるとでも思った? もっと信用してほしいよ」
「……わからないから怖かったんです。僕が弱気な証拠ですね」

 そんな悲しそうな顔をしないでーー彼の心を埋めたくて、瑠維の首に手を回した。
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