極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「それで、話というのは?まあ検討はつくが」
「検討がつく?」
「いわゆる一夜の過ちがあったかどうかだろう?そんなものはない。君は熟睡していたし、俺のほうは素面だったからな」
「あ、いえっそうじゃなくてっ」

 つい強い口調になり、先生は少なからず驚いた様子で黙った。
 心臓が早鐘を打っているのを感じる。
 けれど、聞かないわけにはいかない。
 鍵を返すだけだったらあの場で済んだものを、わざわざ部屋にまで入れてもらっているんだから。
 ごくりと唾をのんで、思い切って尋ねる。

「……身体、見ましたか?」

 先生は不思議そうに首を傾げた。

「過ちはないと言っただろう」
「あの、それはわかるんですが……」
「シャツのボタンが苦しそうだったから、上のボタンをいくつかはずした。そのとき多少下着は見えたが」

 これはホッとしていいものなのか否か。
 直に肌が見られたわけではないとしても、下着だってよく見れば気づかれてしまうはず……。
 心の中でぶつぶつと呟いていると、先生が訝しげな顔をする。

「過ちが起こることより、身体を見られるほうが嫌なのか?」

 ギクリとした。
 そうだ。今の会話だとそう思われるのは当然だ。
 過ちはないと言っているのに、身体を見られたかどうかをしつこく訊ねるのはおかしい。
 視線を泳がせたけれど、先生がこちらをじっと見て答えを待っているのは気配でわかる。
 もしも先生が私の秘密に気づいていなかったのだとしても、うまくごまかせるような言葉がすぐに出てくる気がしない。
 それに、あれだけ迷惑をかけた上、あらぬ疑いをかけたのだ。
 この際きちんと説明したほうが誠実だろう。

< 24 / 102 >

この作品をシェア

pagetop