極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「君には今、恋人や好きな男はいるのか?」
「え?……いえ」

 かぶりを振った。
 好きなひと……強いて言うなら、目の前にいるこのひとが一番……なんて頭をよぎったけれど、本人に言えるはずもない。

「その彼との件があってから、恋愛に臆病になってしまったので……」
「だが、君に結婚願望はないのか?子どもだって好きだろう」

 ドキッとした。
 ベビーの世話をしていると、時々考えてしまうのは確かだ。
 よその親御さんの赤ちゃんがこんなにかわいいなら、自分の子どもは……自分と好きな人との間の子どもはどれほどかわいいんだろうと。
 けれど。
 力ない笑いが零れた。

「私はもう、そういうのは諦めてますから……」
「……それなら」

 先生が背もたれから軽く身を起こし、膝の上で手を組む。

「俺と結婚してほしい」
「……はい?」
「そして俺との子どもを産んでくれ」
「……はい!?」

 再び突拍子のない声が部屋中に響いた。
 呆気に取られて半口を開ける私と違い、先生は真顔だ。
 今、結婚とか子どもを産めとか言ったような……。

「……ご冗談ですよね?」
「本気だが?」

 さらっと即答されて眩暈がした。
 この人は一体何を言っているんだろう。
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