極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「この歳になると縁談の話をよく持ち込まれるが、結婚するなら、共に子どもに精一杯の愛情を注いでいける女性としたい。俺は新生児科に行くたびに君の仕事ぶりを見ていて、本当に子どもが好きなのが伝わってきていたし、いい母親になりそうだとも思っていた。人柄はじゅうぶん信用に足りる。それは俺にとってこの上ないメリットだ」

 いい母親になりそうだなんて……。
 私が先生に対していい父親になりそうだと思っていたように、先生も私のことをそんなふうに見てくれていたとは思わなかった。
 軽く首を傾げた先生が尋ねてくる。

「俺と結婚するのは嫌か?」
「えっいえっとんでもない! そんなことないです!」

 首を横に振りながら慌てて答えたけれど、そのあとに喉から出かかった言葉はなんとか飲み込んだ。
 『先生が相手なら喜んで結婚します!』なんて言ったら引かれてしまうだろう。
 恥ずかしくてコホンと咳ばらいをした。

「それより、先生は下着しか見ていないんですよね? 私の胸を見たら、結婚したいなんて思えなくなります」
「じゃあ下着を取って見せてくれ」
「はい?」
「今すぐに」

 何やらカツアゲのような状態になっている。
 というか完全にセクハラ……いや、私の言い方が悪かったのだ。
 こんなの、胸を見てくれと言っているようなものじゃないか。
 けれど、本当に見てほしいわけでは……。
 考えていると、ソファから立ち上がった先生が私の隣に座り、腕を掴んだ。

「きゃっ」

 身体がぐるんと傾き、私の目には先生の整った顔と、その肩越しの天井が映った。

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