極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 緊張して動悸がしてくる。
 拓海さんも一緒に呼び出されているんだろうか。
 そうだったらいいけれど、もしひとりだったらどうしよう。
 どんなふうに挨拶すればいいのかわからない。
 院内の廊下を足早に進み、普段医療スタッフさえも使うことがないエレベーターへと乗り込む。
 最上階へたどり着くと、そこはリノリウムの床ではなく赤いカーペットが敷かれたVIPな雰囲気漂うフロアだ。
 院長室と彫られたプレートのドアを目の前にして、ごくりと唾を飲み込んだ。
 覚悟を決めてノックをすると、中から「どうぞ」と男性の声が聞こえた。

「失礼いたします」

 おずおずとドアを開けて足を踏み入れると、部屋にはデスクに頬杖をつく白髪混じりの男性——院長と、隣に上品なワンピースを身に纏う奥様らしき人が立っていた。
 拓海さんの姿はない。
 歓迎されているわけじゃないのは雰囲気から伝わってくる。
 奥様のほうは穏やかそうではあるものの、ふたりとも笑顔ではないし、院長先生に至っては不機嫌そうに、上から下まで品定めするように私を見ている。
 もう一度ごくりと唾を飲み込み、一歩前へ出る。

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