極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「新生児科所属の小鳥遊菜乃花と申します。何か御用ーー」
「君が拓海と付き合っているというのは本当か?」

 緊張でつっかえながらしゃべる私の言葉を、院長が厳しい声で遮った。
 拓海さんはご両親への挨拶について渋っている様子だったけれど、交際しているのは事実だ。
 きちんと伝えなければならない。

「はい。結婚を前提にお付き合いをさせていただいています」

 院長は、やれやれとため息をつく。

「拓海のやつ、全く勝手なことを」

 院長は呟くように吐き捨てたあと、冷たい目で私を見据えた。
 次にくる言葉はなんとなく想像がついて、心臓が嫌な音を立てる。

「単刀直入に言う。拓海とは別れてくれ」

 院長の言葉は、まさに私が思った通りのものだった。

「ちょっとあなた……」
「お前は黙っていろ」

 院長が、戸惑っている様子の奥様の声を遮る。

「少し調べさせてもらったが、君はただの一般庶民だろう。拓海にはふさわしくない」

 三日前の私の不安は見事に的中してしまった。
 院長の言っていることはもっともなのだ。
 私はごく普通の家庭で育った普通の人間。
 しかも今は家族もいなくて天涯孤独。
 こんな大病院の跡取りと結婚だなんておこがましい。
 けれど、私は拓海さんにプロポーズされ、すでに指輪を買いに行く約束もしているというのに。
 黙り込んだ私に、院長がじれったそうに続ける。

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