極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「すまない。父に不当な扱いを受けて辞めさせられたんだろう?あれからずっと探してたんだ」
「探してただなんて。拓海さんは私のことを好きなわけじゃなかったでしょう?」
「俺は菜乃花だからプロポーズしたんだ」
 力強く言い放たれ、鼓動が大きく鳴る。けれど、それは違うと冷静な自分が訴えかけてくる。
「私なんか、いい母親になれそうな女性という条件に当てはまっただけじゃないですか」
「……そう思ったから俺に何も言わずに去ったのか」
 深いため息が隣から聞こえた。私の右頬に大きな手が触れ、近い距離で視線が合う。普段余裕のある拓海さんの、こんなに必死な顔は初めて見た。
「ずっと探してたのは本当だ。菜乃花は子どもが好きだから、小児科か新生児科のある病院に転職するだろうと踏んで色々当たっていたんだ。見つけ出すのに五年近くもかかってしまった。その間に、子どもをひとりで育てていたなんて……」
 拓海さんがくしゃりと目を瞑り、苦しげな声を出す。
 そんなに長い時間、私を探してくれていたなんて……。拓海さんが私だからプロポーズしたっていうのは本当のことなの?拓海さんの真っ直ぐな瞳に、嘘は少しも感じられない。
「菜乃花、愛してる。今度こそ離さない。菜乃花と拓斗くんを、これから俺に守らせてほしい」
「拓海さん……」
 胸を打たれて涙が滲み、それを慌てて指で拭った。泣いている姿なんて、拓斗に見られたら困る。それに、拓斗がいきなりこんな状況を受け入れられるとも思えない。
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