極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
「これ、くびにのせるの?」
「そう。できるか?」
「うん!」

 遠くで声が聞こえ、パタパタと駆けてくる足音がする。
 そして、ひんやりと首元が冷たくなった。
 重い瞼を開くと、拓斗の姿が映った。

「あ!ママおきた!」
「起きたか?」

 またバタバタと駆けてくる音がして、ドアの外から顔を覗かせたのは拓海さんだ。
 彼は足早に歩いてきてベッドの脇に座り、私の額に手を当てる。

「さっきより少し熱が引いたかな。だが、頑張りすぎだぞ」
「うそ……私、熱あったんですか」
「無自覚か。危なっかしいな」

 拓海さんは腕を組み、肩を上下させてため息を吐く。
 辺りを見渡すと、いつか見た書棚がある。

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