極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
 インターホンの音が鳴り、拓斗がダッシュで玄関ドアのほうへ向かう。
 ドアが開くと「パパぁ」と甘ったるい声を出し、早速抱っこを要求する。

「元気にしてたか?」
「げんきだよ。あのね、きょうけんたくんと車のおもちゃで、がちゃーんってぶつかってね……」

 拓斗は保育室の帰り道に私に言ったのと全く同じことを、拓海さんにも言っている。
 噴き出して笑いながら、拓海さんを迎えた。

「お仕事お疲れさまでした」
「ああ。緊急の仕事が入らなくてよかったよ。今日は三人でハンバーグだもんな」

 拓海さんが目配せすると、拓斗は白い歯を見せながらうなづいた。

「ママのハンバーグ、おいしいんだよ!」

 期待されちゃうからあまり前宣伝をしないでもらいたいな、と思いながら、食卓の準備を始める。
 その間、拓海さんと拓斗は楽しげに何か話している。
 拓海さんがこんなにやわらかくてやさしい顔をするなんて、きっと病院のスタッフは誰も知らないだろう。
 私だけが知っていると思うと、なんだか嬉しくなる。

< 92 / 102 >

この作品をシェア

pagetop