私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ちょっと!」
 手をはずそうともがくが、穂希は離れない。
「そもそもつきあってないです!」
「そんなことを言うのか、君は」
「つきあってなんて言われてませんから!」
「屁理屈だろ」
 穂希があきれると、莉衣沙と佳乃はくすくすと笑った。

「すまない、時間だ」
 穂希は腕時計を見て言った。
 莉衣沙はニヤッと笑った。
「あとでゆっくり聞くわね」
「全部終わったらな」
 穂希は背を向け、手を上げて応じた。一鈴は彼に連れられてその場を離れる。
 全部終わったら。
 一鈴はそっと穂希を見上げる。

 全部終わったら、自分はどうするんだろう。
 どうしたいんだろう。
 どうするべきなんだろう。
 正解はわかっている。穂希と離れて、別々に生きていく。それがきっと正解だ。
 だけど。
 一鈴は首を振った。
 まだ先のことなんて考えたくない。
 今は、穂希を守ることが第一だ。

 私があなたを守ります。

「どうした?」
 穂希が優しく微笑して一鈴を見る。
「なんでもない」
 一鈴はにこっと笑って返した。



 開会式は多くの記者に囲まれて終わり、招かれた客が飛行船に乗る。
 広くとられたバンケットでは立食パーティーが行われていた。
 顔だけ出したあと、一鈴は莉衣沙と佳乃とともに個室に向かった。
 六畳ほどの部屋だった。がっちりと床に固定されたソファセットがあるだけで、内装は上質だが簡素だ。
「狭いわ。椅子も質素」
 莉衣沙が文句を言う。
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