私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~

「軽量化重視なんでしょうね」
「軽量なのに重いとは」
 佳乃の発言に、ついつっこんでしまう。が、二人とも一鈴の言葉をスルーした。
 しまった、すべった。ウケようと思ったわけでもないけど、恥ずかしい。

 莉衣沙がソファに座ると、佳乃は車いすを畳んで隅に固定した。
 乗務員が三人分の軽食と飲み物を運んできて、立ち去った。
「よくこんな時代遅れの代物を作ろうと思ったわよね」
 サンドイッチをつまみながら、莉衣沙が言う。
「今だからでしょう。世界の富裕層から予約が殺到しているそうですよ。Wi-Fiも使えるし」
 佳乃はゆったりとワイングラスを揺らした。

「けっこう揺れますね」
 一鈴は居心地悪くソファに座り直す。
「風の影響ですわね。条件が合わないと飛べませんし維持費もかかります。保管場所も大変。よく作りましたわ」
 佳乃はワインをくいっと飲んだ。
 ドアがノックされた。
 一鈴が行き、ドアを開けた。

「一鈴様、おられますか」
 制服の男性乗務員が言う。
「私です」
「穂希様が内密にお呼びです」
 彼はほかの人に聞こえないように小声で言った。
 一鈴は思わず莉衣沙たちを見た。
「なに?」
「どうしましたの?」
「なんでもない。ちょっと行って来ます」
 一鈴は部屋を出た。

 護衛の警備員がドアの外におらず、不審に思った。
 だが、乗務員を待たせるわけにもいかない、と彼に連れられて歩いた。どんどんひと気のない方へ行くから、どんどん不安になる。
 彼は、飛行中は立ち入り禁止になっている搭乗口まで案内した。

 そこには振袖姿の爽歌がいた。
 一鈴の背筋を冷たいものが走った。
「お待ちしてましたわ」
 爽歌はにっこりと微笑んだ。
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