私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
行った先は、また富士山の五合目だった。
平日のせいか人はいない。車が何台かあるが誰もいなかった。山に登りに行っているのだろう。
今度は天気がよくて、はるかかなたまで景色が見えた。緑の木々も茶色の地表も雄大だ。
遠くに小さくなった街並みに人が住み、それぞれの人生がある。
なんだか不思議で、尊いような気もした。
「こっちのほうが飛行船より高度が高いんだよな」
穂希がつぶやいた。
「そういえば、飛行船ではろくに景色を見てませんでした」
「また一緒に乗ろう」
穂希は一鈴の後ろから彼女に抱き着く。
「なんでいちいち!」
「いいだろ、別に」
もがいても穂希は離れてくれなくて、一鈴は抵抗をあきらめた。
「爽歌のことだが」
穂希は顔を伏せるように一鈴の肩に額を載せる。首筋に、穂希の髪がくすぐったかった。
「すまないが、警察には届けていない」
「……そうですか」
「爽歌はすべて否認している。部下の件、警察は事故と判断した。吉岡さんを襲った主犯はおそらく爽歌だが、証拠がないからこのまま不明だろう。倉持さんの件は爽歌が買収したメイドが捕まって白状したが、本人が事件化を望んでいないというから、このままだ」
「そうですか」
「爽歌はずっと、俺を守ると言っているそうだ。検査の結果は正常だったらしいが、俺に関してだけ、なにが悪いのかわからないらしい」
「そうですか……」
「爽歌は遠くの病院に入院する。おそらく、一生出て来られない」
穂希はぎゅっと一鈴を抱く手に力を込める。
一鈴は自分の手を添えた。
「一時期、爽歌を好きだったこともある。だけど、俺は呪われているからとあきらめたんだ。その呪いの原因が、爽歌だったなんて、笑えるよな」
「あははは!」
「笑うなよ」
「すみません。笑った方がいいのかと思いました」
謝る一鈴に、穂希はため息をついた。
平日のせいか人はいない。車が何台かあるが誰もいなかった。山に登りに行っているのだろう。
今度は天気がよくて、はるかかなたまで景色が見えた。緑の木々も茶色の地表も雄大だ。
遠くに小さくなった街並みに人が住み、それぞれの人生がある。
なんだか不思議で、尊いような気もした。
「こっちのほうが飛行船より高度が高いんだよな」
穂希がつぶやいた。
「そういえば、飛行船ではろくに景色を見てませんでした」
「また一緒に乗ろう」
穂希は一鈴の後ろから彼女に抱き着く。
「なんでいちいち!」
「いいだろ、別に」
もがいても穂希は離れてくれなくて、一鈴は抵抗をあきらめた。
「爽歌のことだが」
穂希は顔を伏せるように一鈴の肩に額を載せる。首筋に、穂希の髪がくすぐったかった。
「すまないが、警察には届けていない」
「……そうですか」
「爽歌はすべて否認している。部下の件、警察は事故と判断した。吉岡さんを襲った主犯はおそらく爽歌だが、証拠がないからこのまま不明だろう。倉持さんの件は爽歌が買収したメイドが捕まって白状したが、本人が事件化を望んでいないというから、このままだ」
「そうですか」
「爽歌はずっと、俺を守ると言っているそうだ。検査の結果は正常だったらしいが、俺に関してだけ、なにが悪いのかわからないらしい」
「そうですか……」
「爽歌は遠くの病院に入院する。おそらく、一生出て来られない」
穂希はぎゅっと一鈴を抱く手に力を込める。
一鈴は自分の手を添えた。
「一時期、爽歌を好きだったこともある。だけど、俺は呪われているからとあきらめたんだ。その呪いの原因が、爽歌だったなんて、笑えるよな」
「あははは!」
「笑うなよ」
「すみません。笑った方がいいのかと思いました」
謝る一鈴に、穂希はため息をついた。