私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ないってことはないだろう」
「ないったらない」
「強情だな」
 穂希は一鈴をだきすくめる。
「もう離れないからな」
「いやいやいや、無理」
「無理じゃない。愛してる」
 一鈴の耳元で穂希は囁く。
 穂希の息が耳にかかり、一鈴の顔がかっと熱くなった。
 ダメだ。こんなの、勝てる気がしない。
 かくん、と首を垂れて穂希にもたれかかった。

「私はお守りじゃありません。開運の招き猫でもありません」
「そうだな。君はお守りでも開運グッズでもない」
 穂希はくすくすと笑う。吐息が耳にくすぐったい。
「俺の愛しい人だ」
 一鈴は拳を握りしめた。
 一鈴が返事をしようと口を開いたとき。
 ぐうう、とお腹が鳴った。
 穂希はまたくすくすと笑い、一鈴は顔を赤くしてうつむいた。
「そんなに笑わないでください」
「最初に会ったときも君のお腹は鳴っていた」
 一鈴はさらにうつむく。

「……ごはん、作ってくれますか?」
「いくらでも作るよ」
「毎日でも?」
「もちろん、一生でも」
 一鈴はそーっと顔を上げる。
 穂希は満面の笑みで彼女を見下ろしていた。
 明るい日差しの中で彼の笑顔は輝きを増して、一鈴はまぶしくて目を細めた。
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