私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
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一年後。
宝来家のリビングで、一鈴は新聞を見ていた。
「一鈴さん、出発の時間だよ」
穂希の声で、一鈴は顔を上げた。
「またそれ見てるのか」
「だって」
しばらく前に発行されたスポーツ新聞だった。うれしくて記念に買ってしまった。
「祝、結婚! 嶌崎ホールディングス令嬢、遅咲きの新星F1レーサーと結婚発表! 令嬢の献身愛!」
一鈴は誇らしげに読み上げる。
「今日は本人たちに会えるんだから、またあとで」
「そうね。多美子さん、捨てないでくださいね」
「承知しております」
多美子はにこっと笑った。
「ブランクも年齢のハンデも超えて一年でF1レーサーになるって普通は不可能よ。愛よ、愛」
ふと気が付いて、彼に言う。
「祝いと呪いって、字が似てるのにぜんぜん違うね」
「示す偏は祭壇を意味していて、呪いももとは祝いと同じような意味だったらしい。時代とともに、意味がわかれていったそうだ」
「呪うより祝う毎日でありたいね」
「そうだな」
穂希は優しく微笑んだ。
河原に着くと、大きな飛行船が止まっていた。
礼服を着た男女がセキュリティーチェックを受けて中に入っていく。
一鈴たちもチェックを受けて中に乗り込んだ。
花嫁控室、と張り紙のあるドアをノックすると、どうぞ、と声が返ってくる。
中にはウェディングドレスを着た佳乃とタキシードの小幡祥平がいた。
「おめでとうございます、佳乃さん、小幡さん」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
二人から返事があった。
「あ、今は二人とも小幡さんですね」
「そうね」
佳乃はふふっと笑った。
内側から輝く笑顔だった。
「今日は一段ときれいです」
「祥平さんも褒めてくれたの」
照れ臭そうに、佳乃は言う。