私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
 苗字を呼び捨てにしていたのが、祥平さんに変わっていた。なんだかこそばゆくなって、一鈴は自然と笑顔になった。
「あなたのおかげで夢も叶えたし愛も手に入れました。本当にありがとう」
 祥平が一鈴に手を差し出す。
 一鈴が手を伸ばすと、それより先に穂希が祥平の手をつかんだ。

「なにしてるの?」
 一鈴はきょとんとした。
 祥平は苦笑し、佳乃はくすくす笑った。
 穂希は笑うように口の端を歪めたが、目が笑っていなかった。
「御曹司は嫉妬深いようで」
「余計な口をたたくと祝儀を減らすぞ」
「穂希さん、なにを言ってるの」
 一鈴はあきれて、佳乃は笑った。

「おめでとう、佳乃さん!」
「おめでとう」
 開いたままの入口から声がかかった。
 莉衣沙とコスモがそこにいた。
 莉衣沙は超売れっ子俳優になった中辻龍之介と一緒にいて、コスモは見知らぬ外国の男性と一緒にいた。ダークブロンドの髪にブルーグレイの瞳が美しい。背が高く、優しい顔立ちをしていた。

「莉衣沙さん、コスモさん、ありがとう。龍之介さん、新作映画、とても面白く拝見しましたわ」
「ありがとうございます」
 龍之介はにこっと笑って返した。ちらりと見えた歯がきれいだった。
「コスモさん、もしかしてそちらが」
 一鈴が聞くと、コスモは照れ臭そうに笑った。
「そうなんだ。みんなに会わせたくて。彼もみんなに会いたいって」
「アルバート・ベルです。よろしくお願いします」
 彼は言って、にこっと微笑んだ。
 日本語話せるんだ、と一鈴はホッとした。

「誰だ?」
 穂希はこそっと一鈴に聞く。
「前に言ったよね、コスモさんの彼氏さん。イギリスの貴族なんだって」
「すごいな」
「そこ、聞こえてるよ」
 コスモに言われ、穂希は咳ばらいをした。
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