私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「ネットに書いてあります。長い茶柱を選んで端をつぶすそうです。絶対立つわけじゃないですけど」
「知らなかった」
 お茶を飲んで、穂希は言った。

「呪いがこんな形で出るとは思わなかった。申し訳ない」
「呪いじゃないし、私がお金につられたんですから」
 言いかけて、はっとする。これは絶好の機会では。
「世の中には危険手当ってものがありましてね」
「もっと払え、と?」
「いやあ、あはは」
「転んでもただでは起きないな。呪いはないんじゃないかと思えて来るよ」

「少なくとも今回は確実に人間のせいです」
「ずっとあきらめていた。一生独身を貫く覚悟だった」
「悪いことを見ると悪いことばかり、いいことを見ればいいことばっかりに見えるらしいですよ。過去の女性たちもいいことあったはずです。少なくとも、私はあなたから幸運をもらいました」
 幸運という名のお金だけど。まだ手元にないけど。
 えへへ、と一鈴は笑った。

「そんなことを言われたのは初めてだ」
 穂希は驚いたように一鈴を見つめる。
「運が悪いときは掃除をするといいらしいですよ。真偽はともかく、気分転換になります。やりますか?」
 玉江は隣室で控えているから止められることもないだろう。
「君の勧めならご利益がありそうだ。やってみよう」
 一鈴は笑って返し、ゆのみを洗ってから掃除道具を取りに行った。



 ホウキは一本しかなかったので穂希に渡した。
 穂希はスーツの上着を脱いでシャツの袖をまくる。たくましい腕が見えて、一鈴はどきっとした。
 穂希が適当に掃き始めるので、そうじゃない、と指導する。
「狭い方から広い方へ掃いてください。あと、もっと優しくしてください」
「優しくしてくださいって、エロいな」
「中学生か!」
 つっこむと、穂希はふふっと笑った。
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