私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
穂希は翌日の夜も現れた。リンゴを持ってきて、右手には包帯を巻いていた。
玉江は部屋に下がったから、一鈴がリンゴを切って出した。デザートフォークも添えた。
「食べさせてくれ」
「左手、使えますよね?」
「両手とも痛いんだ」
「嘘ですよね」
「いや、本当だ」
と彼は右手をふる。
絶対嘘じゃん、とは思うが、昨日助けてくれたのは事実だ。
一鈴はリンゴをフォークで刺して彼に差し出す。
あーん、とかぶりついて、彼はうれしそうに食べた。
「俺の部屋を掃除したい。一緒にやってくれないか」
「私でいいんですか?」
「あの部屋にメイドは入れられない」
あの部屋を見たら、誰もが絶句するに違いない。
想像して、くすっと笑った。
次の土曜日、10時に本邸から迎えの車が来た。
本邸に着くとジャージ姿の彼に迎えられた。掃除する気合を感じたが、ブランドものだったので、なんだかちぐはぐな感じがした。
部屋は相変わらずの開運厄除けグッズの山だった。
「まずはこれらを捨てる」
一鈴は驚愕して穂希を見た。
「正気ですか!?」
「お守りは一つだけのほうがいいんだろ? 開運グッズも同じ原理かと思って」
あれだけ呪いを気にしていた穂希が、大進歩だ。
「ほめて抱きしめてくれ。頭をなでてもいいぞ」
「いやです」
「冷たいな」
傷付いたような顔をしたが、一鈴はそれを無視した。