私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
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「一度、宝来の家に戻るわ」
車の中で、窓の外を見て佳乃は言った。
「かしこまりました」
運転手の小幡は慇懃に答える。
ふと、彼の腕時計が目に入る。
「それ、まだつけてくれてるのね」
「お嬢様からいただいたものですから」
無感情な彼の声に、佳乃はまた窓の外を見た。
流れる街の景色は無機質で、なんの感動もない。
「なにかあればいつでもお呼びください。わたくしはお嬢様の専属です」
佳乃はふっと笑った。
「頼りにしてるわ」
それきり、車内には静寂が訪れた。
***
お茶をしたあと、一鈴は爽歌に送られて玄関を出た。
迎えの車は来ていなかった。
「おかしいわ」
爽歌が首をかしげる。
「大丈夫です。健康のために歩いて帰ります」
「でも」
「大丈夫です」
へらっと笑うと、爽歌は苦笑した。
「またお茶をご一緒してくださいね」
爽歌が戻ると、警備員は彼女についていった。
うーん、と伸びをする。
いくら親しくなれそうな人でも、やはり緊張したし疲れた。
黒塗りの車が走って来るのが見えた。
車はロータリーをまわって玄関前で止まり、運転手が降りて来た。
いつぞやの怖い人!
思わずあとじさる。
彼は彼女を一瞥すると、後部座席のドアを開けた。
中から佳乃が降りると、彼はドアを閉めた。
佳乃は一鈴にかまわず玄関に向かう。
一鈴はよけようとして同じ方向に動いてしまい、ぶつかった。
佳乃はよろけて、一鈴はひっくり返った。