私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「お嬢様!」
 運転手は慌てて駆け寄る。
「すみません」
 一鈴はすぐ起き上がって謝った。
「あなた、よほどぶつかりたいのね」
 佳乃は左手首を見て、はっとした。
「ない! 私のブレスレット!」
 佳乃は慌てて地面を見回す。
 一鈴も見回し、すぐに見つけ、拾った。

「これですか?」
 金の華奢な鎖にハートのチャームがついている。
「返して!」
 佳乃がばっと奪い返す。
「金具、壊れてませんか?」
 佳乃は警戒をあらわに一鈴を見て、それからブレスレットを見る。

「留め具が……なにをしましたの!?」
「なにもしてません」
 ふと見ると、運転手が怖い顔でこちらを見ている。視線だけで殺されそうだ。
「よかったら直しますよ。パーツが合えば、ですけど」
 二人にご機嫌を直してもらおうと、一鈴はへらっと笑った。

「直せますの?」
「応急でよければ」
「今日の夜会につけていきたいの。やってくださる? 小幡」
小幡はまた車のドアを開けた。佳乃はそのまま車に乗り込む。
「早くなさって」
 呼ばれて、慌てて一鈴も車に乗り込んだ。



 家についてリビングに一緒に入る。小幡はドアの外で待機している。
 玉江は紅茶を入れてから自室に引っ込んだ。
 一鈴は工具と金具のパーツをとってきてリビングに戻った。佳乃の向かいに座り、手を差し出す。
「貸してください」
 佳乃はためらうようにブレスレットをその手に載せた。
 金具は、引き輪が引かれたまま戻らなくなっていた。

「これならパーツがあります」
 ほっとして金具を取り換えた。もとの金具も合わせてブレスレットを返す。
 佳乃はブレスレットをつけて、安堵を見せた。
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