惑わし総長の甘美な香りに溺れて
 周囲の視線からなんとか逃れて学校を出た。

 いろんな意味でドキドキハラハラしてしまった私は、激しくなった鼓動を落ち着かせてから陽に話しかける。


「陽、学校ではあんまりくっつかないでって言ったよね? 目立つし、恥ずかしいよ」


 これは文句を言っても良いはずだ。

 止めてって前から言っていたし、陽も「わかった」って言ったはずだもん。


「あーごめん! でもさ、俺本当モモの匂い好きなんだ。ギュッてすると柔らかいし、くっつける機会があるなら逃したくないんだよな」


 無邪気な笑顔で恥ずかしいことをすんなり口にする陽に、私は頭を抱えたくなった。

 これ、本気で言ってる? それとも無邪気な笑顔で誤魔化そうとしてる?

 まだ付き合いの浅い私にはどっちなのか分からない。

 でもこんなことをしょっちゅうやられたら、周囲の目もそうだし私の心の平穏という意味でも良くない。


「だとしても、学校では本当に止めて」


 これだけはハッキリ言わなくちゃと真剣な目で陽を睨み上げた。


「っ」


 少し息を呑んで驚いたような顔をした陽は、そのまま眉を下げて仕方ないなって表情になる。


「わかったよ。……でも、モモもそーゆー顔で男見上げるのナシな?」

「へ?」


 そーゆー顔ってどんな顔? 睨むなってこと?
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